病院事務長 岡大徳の実務・制度ナビ|診療報酬改定・施設基準・医療DX

急性期から回復期まで幅広い医療機関で実務を経験し、現在は病院事務長として現場を支える岡大徳が、複雑な制度や専門用語を実務家の視点でわかりやすく解説します。より深い時事考察や最新ニュースはSubstackにて配信中。

【令和8年度診療報酬改定】往診時医療情報連携加算の見直し|被支援側に機能強化型以外の在支診・在支病が追加

令和8年度診療報酬改定では、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える観点から、往診時医療情報連携加算の評価や要件が見直されます。この見直しは、医療機関同士の連携を後押しし、継続的な在宅医療の提供を確保することを目的としています。本稿では、令和8年度診療報酬改定における往診時医療情報連携加算の見直し内容を整理し、医療機関への影響を解説します。

1. 往診時医療情報連携加算の改定背景|24時間在宅医療体制の課題

第1に、改定の背景には、現行制度では評価されにくい連携形態の存在と、医療機関単独での24時間対応の限界があります。

在宅医療を担う医療機関には、夜間・休日を含めた継続的な対応が求められます。しかし、この負担を一施設だけで背負うことは、特に小規模な医療機関にとって大きな課題です。現行の往診時医療情報連携加算は、在宅療養支援診療所(以下、在支診)および在宅療養支援病院(以下、在支病)以外の医療機関を主治医とする患者への往診を対象としていました。そのため、24時間対応の役割を担う在支診・在支病が主治医である場合でも、夜間等に他の医療機関へ往診を依頼するケースで加算の対象外となり、医療機関同士の協力を診療報酬上で評価しにくい状況が生じていました。

2. 改定前後の比較|被支援側に機能強化型以外の在支診・在支病が追加

第2に、今回の改定における具体的な要件の変更点について解説します。核心は、被支援側の対象範囲が拡大された点にあります。

1つ目の変更点は、被支援側の対象拡大です。改定前は「在支診・在支病以外の保険医療機関」に限定されていましたが、改定後は「機能強化型の在支診・在支病以外の保険医療機関」と整理されました。具体的には、機能強化型以外の在支診・在支病であれば、新たに被支援側として算定対象に加わります。

2つ目の変更点は、連携先確認という新たな実務要件の発生です。算定点数は改定前後ともに200点で据え置かれますが、対象が広がる分、連携先がどの類型に該当するかの確認が必須となります。機能強化型に該当する在支診・在支病は引き続き被支援側から除外されるためです。算定の可否を正しく判断するには、支援側となる医療機関と事前に連携体制を構築しておくことが求められます。

3. 算定機会の拡大と連携先確認の実務|医療機関への影響

第3に、医療機関にもたらされる実務上の影響です。

今回の見直しは、地域で在宅医療を担う医療機関に新たな算定機会をもたらします。在支診・在支病同士の連携が、機能強化型以外の範囲で診療報酬上の評価対象に加わるためです。算定の実務では、施設基準告示に基づく連携先の類型確認が新たな確認事項として加わります。その場で応援を呼ぶのではなく、事前の連携体制づくりを制度として強く促す仕組みとなっています。

4. まとめ|「点」から「面」の在宅医療ネットワークへ

令和8年度診療報酬改定における往診時医療情報連携加算の見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える連携を、診療報酬の側面から後押しするものです。

算定機会の拡大により、小規模なクリニックが孤軍奮闘する状態から、地域の大きな病院等と結びついた面のサポート体制へと移行することが期待されます。医療機関は、連携先が機能強化型に該当するかを確認した上で、新しい算定要件への対応を進めることが求められます。また、患者側においても、一人の医師に依存するのではなく、地域の医療ネットワーク全体をチームとして信頼していく視点が今後の在宅医療の鍵となります。

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