病院事務長 岡大徳の実務・制度ナビ|診療報酬改定・施設基準・医療DX

急性期から回復期まで幅広い医療機関で実務を経験し、現在は病院事務長として現場を支える岡大徳が、複雑な制度や専門用語を実務家の視点でわかりやすく解説します。より深い時事考察や最新ニュースはSubstackにて配信中。

【令和8年度診療報酬改定】遠隔連携診療料の評価拡大|対象疾患・場面の追加と900点統一を解説

令和8年度診療報酬改定で、かかりつけ医と専門医をオンラインでつなぐ「D to P with D」の評価である遠隔連携診療料が大幅に拡充されました。対象疾患の追加に加え、訪問診療・入院診療でも算定が新設され、点数は3つの場面すべてで900点(3月に1回)に統一されています。本記事では、3つの拡大ポイントと算定の留意点、よくある質問を、医療機関・請求担当者の方に向けてわかりやすく整理します。

遠隔連携診療料が拡大した背景

改定の背景には、専門医療へのアクセスにおける地理的な制約を和らげ、質の高い医療を全国に広げる狙いがあります。改定前の遠隔連携診療料は、指定難病とてんかんの外来診療に対象が限られていました。地域のかかりつけ医が把握する患者の日常的な情報と、専門医が持つ高度な知見を組み合わせる連携の価値が評価され、今回の拡大につながっています。

令和8年度改定の3つの拡大ポイント

今回の改定では、対象疾患と算定場面の両面で拡大が行われました。ここでは、外来・訪問・入院の3つの場面に分けて、変更点を順に整理します。

拡大①外来診療|対象疾患の追加と過疎地域の特例

外来診療では、対象疾患が2つの形で広がりました。全国共通では、希少がん、医療的ケア児(者)、小児慢性特定疾病が新たに加わりました。このうち希少がんは、診断を目的とする場合には「疑い」の段階の患者も含まれます。さらに、人口の少ない地域に限り、治療中の悪性腫瘍、治療中の膠原病、慢性維持透析の3疾患も対象となります。これは、対象地域に所在する医療機関を受診した患者に限って算定できる特例です。

拡大②訪問診療|在宅患者への算定を新設

訪問診療における算定が、新たに設けられました。対象となるのは、在宅で療養し通院が困難な患者のうち、主治医の医療機関が掲げていない診療科で専門的な診療を要する者、医療的ケア児(者)、外来緩和ケア管理料の対象患者です。主治医が計画的な医学管理のもとで訪問診療を行う際に、専門医とビデオ通話でつなぐことが評価されます。なお、この算定は、主治医からの求めを受けて実施することが要件です。

拡大③入院診療|入院中のオンライン対診を新設

入院診療における算定も、新たに設けられました。対象は、指定難病、希少がん、小児慢性特定疾病医療支援の対象患者、臓器移植の希望者として登録された患者、そして入院先の医療機関が掲げていない診療科で専門的な診療を要する者です。これにより、入院中の患者も、病室にいながら他の医療機関の専門医による対診をオンラインで受けられるようになります。

点数は3場面とも900点に統一

点数は、外来・訪問・入院の3場面に共通して900点となり、算定は3月に1回までです。改定前は診断目的750点・その他500点と目的別に分かれていましたが、改定後は場面別の区分に整理されました。

算定の留意点|患者同意・診療情報提供・施設基準

算定にあたっては、3つの場面に共通する手順と要件があります。まず患者の同意を得て、連携先の専門医へ事前に診療情報を提供します。そのうえで、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて、専門医と連携して診療を行います。

連携先となる専門医療機関には、疾患ごとに満たすべき施設基準が定められています。たとえば難病では難病診療連携拠点病院など、希少がんでは特定機能病院や都道府県がん診療連携拠点病院などが該当します。算定の前に、対象疾患に応じた連携先の要件を必ず確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

遠隔連携診療料は1回あたり何点を算定できますか?
外来診療・訪問診療・入院診療のいずれの場面でも、900点を3月に1回まで算定できます。改定前は診断目的750点・その他500点と目的別に分かれていましたが、令和8年度改定で場面別の区分に整理され、900点に統一されました。
令和8年度改定で新たに対象となった疾患は何ですか?
外来診療では、希少がん、医療的ケア児(者)、小児慢性特定疾病が全国共通で追加されました。さらに人口の少ない地域に限り、治療中の悪性腫瘍、治療中の膠原病、慢性維持透析も対象となります。訪問診療・入院診療でも、それぞれ場面ごとに対象患者が定められています。
算定にはどのような要件がありますか?
患者の同意を得たうえで、連携先の専門医へ事前に診療情報を提供し、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて連携して診療することが必要です。また、連携先の専門医療機関は、難病診療連携拠点病院や特定機能病院など、疾患ごとに定められた施設基準を満たしている必要があります。

まとめ

令和8年度改定により、遠隔連携診療料は外来・訪問・入院の3つの場面で活用できるようになりました。対象疾患も広がり、地理的な制約を越えて専門医の診療を地域の現場に届ける仕組みが整っています。算定の際は、対象疾患と場面の対応、そして連携先の施設基準をあわせて確認することがポイントです。

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