令和8年度診療報酬改定では、入院患者の口腔状態の課題に質の高い対応を行うため、医科の保険医療機関と歯科医療機関の連携を評価する「口腔管理連携加算」(600点)が新設されました。本記事では、歯科診療を行わない病院を対象としたこの新設加算について、対象患者、算定要件、施設基準の3つの観点から解説します。
口腔管理連携加算が新設された背景
背景には、歯科診療を行わない病院における入院患者の口腔管理の課題があります。入院中に口腔状態が悪化しても、院内に歯科がなければ迅速な対応が困難です。こうした課題を解消するため、外部の歯科医療機関とあらかじめ連携体制を構築し、入院患者が歯科診療を受けられる仕組みを整えた病院に対する評価が新設されました。この加算は、病院側に体制づくりを促す明確なインセンティブとして機能することが期待されます。
口腔管理連携加算の対象患者
対象は、入院中の患者で、医師等が入院中の歯科受診が必要と判断した者です。
ただし、口腔に課題がある患者すべてが対象になるわけではありません。算定要件では、口腔状態の課題が「医科における治療上の課題」を生じていることが求められています。つまり、口腔の問題が入院中の医科の治療に影響を及ぼしている場合に限り、この加算の対象となります。
口腔管理連携加算の算定要件
算定には以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 連携体制の構築:歯科診療を併せて行わない保険医療機関が、あらかじめ歯科医療機関と連携体制を構築しておくことが求められます。
- 患者の同意と情報提供:対象患者について、連携先の歯科医療機関に対し、患者の同意を得たうえで診療状況を示す文書を添えて紹介を行います。
- 入院中の歯科診療の実施:紹介を受けた歯科医療機関による歯科診療が、患者の入院中に実際に行われることが求められます。この歯科診療が行われた日に、入院中1回に限り算定できます。
なお、この加算には診療情報提供料(Ⅰ)が含まれています。そのため、同一の紹介について診療情報提供料(Ⅰ)を別途算定することはできません。
口腔管理連携加算の施設基準
届出には以下の4つの基準を満たす必要があります。
- 連携体制の構築:歯科診療を行う別の保険医療機関と、入院患者に対する歯科訪問診療に係る連携体制を構築していること。
- 院内掲示:上記の連携体制を構築している旨を、医療機関の見やすい場所に掲示すること。
- ウェブサイトへの掲載:院内掲示の内容を、原則としてウェブサイトにも掲載すること。
- 口腔管理の体制整備:口腔管理を行うために必要な体制が整備されていること。
口腔管理連携加算の算定に向けて
令和8年度診療報酬改定で新設された口腔管理連携加算は、歯科のない病院において、入院患者の口腔管理の質を高め、医科の治療を円滑に進めるための重要な評価です。算定には事前の連携体制構築やウェブサイト等での公表など、病院全体としての体制整備が求められます。対象患者は口腔状態の課題が医科の治療上の課題を生じている場合に限られる点にも注意が必要です。本制度の要件を正確に把握し、算定体制の整備を検討してみてはいかがでしょうか。
本記事の内容は、ポッドキャスト番組でも詳しく解説しています。以下のリンクからぜひお聴きください。