令和8年度診療報酬改定では、質の高い生活機能の回復を後押しする観点から、医療機関外における疾患別リハビリテーション料の上限単位数が見直されました。最大のポイントは、「1日3単位(60分)まで」という従来の枠を維持したうえで、一連の入院を通じて合計3単位、特定の患者では合計6単位を上乗せして算定できるようになった点です。本記事では、令和8年度診療報酬改定で見直された医療機関外リハビリの新しい算定ルールと、現場で押さえておきたい実務上の注意点を解説します。
- 改定の背景:なぜ医療機関外リハビリの上限が見直されたのか
- 改定後の算定ルール:一連の入院で合計3単位(特例6単位)を上乗せ
- 6単位の対象となる「厚生労働大臣が定める患者」とは
- 算定時の注意点:安全管理と時間の数え方
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
改定の背景:なぜ医療機関外リハビリの上限が見直されたのか
見直しの背景には、従来の算定上限が、集中的な生活機能の回復を妨げていた現状があります。リハビリテーションの目的は、患者が退院後の日常生活へ円滑に戻ることにあります。この目的に近づくには、自宅周辺の歩行や店舗での買い物といった、実際の生活場面に近い環境での訓練が欠かせません。ところが従来、医療機関外で行う疾患別リハビリテーションには「1日3単位(60分)まで」という上限が設けられていました。患者の状態によっては1日3単位を超える屋外訓練が必要な場面もあり、この上限が十分な訓練時間を確保するうえでの制約となっていました。今回の改定は、この制約を緩和するものです。
改定後の算定ルール:一連の入院で合計3単位(特例6単位)を上乗せ
改定後は、毎日の基本枠とは別に、入院期間を通じて使える「上乗せ枠」が新設されました。基本となる「1日3単位まで」の枠は、従来どおり維持されます。これに加えて、1日3単位を超える訓練が必要な場合に、一連の入院期間全体で合計3単位(60分)を追加で算定できるようになりました。この上乗せ枠は、必要な日にだけ引き出して使うイメージで、毎日の上限そのものが増えるわけではない点に注意が必要です。さらに、厚生労働大臣が定める患者については、上乗せの上限が合計6単位(120分)まで認められます。
6単位の対象となる「厚生労働大臣が定める患者」とは
合計6単位の対象は、特掲診療料の施設基準等の別表第九の三に掲げる患者です。これらの患者は、その状態像から、より手厚く集中的なリハビリテーションを必要とすると位置づけられています。そのため、上乗せ枠も一般の患者の2倍にあたる合計6単位(120分)まで認められます。長時間の屋外歩行訓練や、複雑な生活動作の訓練など、より柔軟な計画を立てやすくなります。
算定時の注意点:安全管理と時間の数え方
上乗せ枠を活用する際にも、従来からの2つの実務ルールを守る必要があります。
1つ目は、安全確保のための体制です。医療機関外でリハビリを実施する際は、訓練場所との往復を含め、常時従事者が付き添わなければなりません。あわせて、緊急時に速やかに医療機関へ連絡・搬送できる体制を、事前に確保しておく必要があります。
2つ目は、実施時間の数え方です。訓練場所との往復に要した移動時間は、リハビリテーションの実施時間には含まれません。算定の対象となるのは、医療機関外で実際にリハビリテーションを行った時間に限られます。単位数を管理するうえで、移動時間を除いた厳密な集計が求められます。
まとめ
今回の改定は、厳格な安全管理を土台としつつ、退院後の実生活を見据えた実践的なリハビリテーションを後押しする見直しです。「1日3単位まで」の原則を維持したまま、一連の入院で合計3単位(特例6単位)の上乗せが可能になりました。医療機関では、新設された上乗せ枠を必要な場面で柔軟に活用し、患者の生活機能の回復につなげていくことが期待されます。
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よくある質問(FAQ)
- 医療機関外リハビリの上限は、改定後も1日3単位までですか?
- はい、1日あたりの上限は改定後も従来どおり3単位(60分)までです。今回の改定で新たに認められたのは、1日3単位を超える必要がある場合に、一連の入院期間を通じて合計3単位(特定の患者は6単位)を上乗せして算定できる点です。毎日の上限そのものが増えるわけではありません。
- 上乗せ上限が6単位になる「厚生労働大臣が定める患者」とは誰ですか?
- 特掲診療料の施設基準等の別表第九の三に掲げる患者を指します。より手厚く集中的なリハビリテーションが必要な状態と位置づけられる患者で、上乗せの上限が一般の患者の2倍にあたる合計6単位(120分)まで認められます。
- 訓練場所への往復にかかった移動時間は算定できますか?
- いいえ、往復の移動時間は算定の対象外です。算定できるのは、医療機関外で実際にリハビリテーションを行った時間に限られます。単位数を集計する際は、移動時間を除いて管理する必要があります。