令和8年度診療報酬改定では、高齢者の生活を支えるリハビリテーション・栄養管理・口腔管理に関して、4項目の見直しが行われます。この見直しは、急性期から包括期にわたる入院患者のADL維持・向上と口腔管理の充実を目指すものです。本記事では、個別改定項目「Ⅱ-2-3 リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進」に位置づけられる4つの主要な変更点について解説します。
改定の背景:届出率9%と歯科受診率9%の壁
今回の見直しの背景には、既存の加算における届出率の低迷と、医科歯科連携の不足という2つの大きな課題があります。
令和6年度に新設されたリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、常勤専従の理学療法士等の配置要件や、土日祝日のリハビリテーション提供量の基準(平日の8割以上)が厳しく、届出率が約9%にとどまっていました。
また、入院中の口腔ケアに関しても、退院後の歯科受診率が約9%にとどまっており、医科の入院患者において歯科受診が必要であるにもかかわらず、十分な連携が進んでいないという課題が浮き彫りになっていました。
4つの見直しの内容
これらの課題を解決するため、今回の改定では以下の4つの措置が講じられます。
第1に、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の再編
現行の体制加算(120点)は、加算1(150点)と加算2(90点)の2段階に再編されます。新設される加算2では、土日祝日のリハビリテーション提供量の基準が「平日の8割以上」から「7割以上」に、ADL低下割合の基準が「3%未満」から「5%未満」に緩和されます。さらに、地域包括ケア病棟にもリハビリテーション・栄養・口腔連携加算(30点)が新設され、入院栄養食事指導料等の算定も可能となります。 令和8年度改定で変わるリハ栄養口腔連携|加算2新設・地ケア病棟拡大の3つのポイント
第2に、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の見直し
摂食嚥下機能回復体制加算1・2における言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和され、他の業務との兼務が可能になります。また、加算3の実績要件に、経腸栄養(鼻腔栄養・胃瘻)から経口摂取へ回復した患者も算入できるようになります。さらに、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。 【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント
第3に、口腔管理連携加算(600点)の新設
歯科診療を行わない病院が、外部の歯科医療機関と連携して入院患者の歯科診療を実現するための評価として、口腔管理連携加算(600点)が新設されます。算定には、歯科医療機関との連携体制の構築、患者の同意を得た文書による紹介、入院中の歯科診療の実施という3つの要件を満たすことが求められます。対象患者は、口腔状態の課題が医科の治療上の課題を生じている入院患者に限定されます。 【令和8年度改定】口腔管理連携加算600点が新設|歯科連携で算定する3つの要件
第4に、医科連携訪問加算(500点)の新設
歯科側への新たな評価として、歯科診療を行っていない医療機関からの依頼に基づき、連携する歯科医療機関が入院患者に歯科訪問診療を行った場合に算定できる医科連携訪問加算(500点)が新設されます。これにより、双方の努力が同時に評価され、これまで見落とされがちだった入院中の口腔ケアの充実が期待されます。なお、周術期等口腔機能管理料や回復期等口腔機能管理料との併算定はできない点に注意が必要です。 【令和8年度改定】医科連携訪問加算500点の新設|入院患者の口腔管理が変わる
まとめ
令和8年度診療報酬改定におけるこれらの見直しは、現場の実態を踏まえ、届出・算定のハードルを引き下げることで、より多くの医療機関が患者のADL維持と口腔管理に取り組めるよう裾野を広げるものです。該当する医療機関におかれましては、各加算の施設基準と算定要件を確認し、多職種・多施設連携の体制構築に向けた準備を進めることが求められます。
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