令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要件と施設基準が大幅に見直されます。この見直しは、医療現場の人手不足に配慮しつつ、患者の機能維持という目的を両立させるための合理的な制度設計といえます。本記事では、改定の背景と3つの主要な変更点について解説します。
改定の背景:届出率9%の壁と厳しい施設基準
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、令和6年度改定で急性期病棟向けに新設されました。入院患者のADL維持・向上を目的に、多職種で一体的に実施する取組を評価するものです。しかし、令和6年度の実態調査では届出率がわずか9.0%にとどまりました。
背景には、高すぎる施設基準のハードルがあります。届出できない理由として「常勤専従の理学療法士等を2名以上配置することが困難」(56.3%)、「土日祝日のリハビリテーション提供単位数が平日の8割以上を満たさない」(53.9%)が多く挙げられました。働き方改革が推進される中、完璧な体制を求める要件が現場の実態と乖離していたことが、普及を阻む要因となっていました。
具体的な要件・変更点:3つのポイント
今回の改定では、現場の参加ハードルを下げるための見直しが行われます。具体的には以下の3点が挙げられます。
第1に、現行の体制加算(120点)が、加算1(150点)と加算2(90点)の2段階に再編されます。対象病棟には新たに急性期病院一般入院基本料が追加されます。加算1の施設基準は現行とほぼ同等で、早期リハ実施割合8割以上、土日祝日のリハ提供量が平日の8割以上、ADL低下割合3%未満、褥瘡保有割合2.5%未満の4項目を満たす「十分な体制」が求められます。また、BI研修にFIMの測定に関する内容を含むことが望ましいと追記されました。
第2に、加算2の新設により一部要件が緩和されます。加算2では「必要な体制」の整備が求められ、プロセス・アウトカム評価のうち2項目が引き下げられます。土日祝日のリハ提供量は「平日の7割以上」に、ADL低下割合は「5%未満」に緩和されます。実態として、未届出施設でもADL低下割合は4%〜5%未満に集中しており、この現実的なラインへの引き下げにより、多くの病院で一体的な取組が広まることが期待されます。さらに、専従理学療法士等の他業務(排尿自立支援加算等)との兼務も認められ、人員確保のハードルが下がります。
第3に、地域包括ケア病棟において、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算(30点/日、14日間限度)が新設されます。これまで地域包括ケア病棟では管理栄養士の配置基準がなく、栄養管理に係る費用は包括されていました。今回の新設により、専任の常勤管理栄養士や所定の研修を修了した常勤医師の配置等を満たすことで、入院栄養食事指導料や栄養情報連携料が包括範囲から除外され、個別の栄養指導が経済的にも評価されるようになります。
まとめ
令和8年度改定におけるリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の見直しは、理想と現場のリアルの絶妙な落とし所を見つけた制度設計です。加算2の新設による要件緩和と、地域包括ケア病棟への対象拡大により、急性期から包括期にわたる手厚い連携体制がより幅広い病棟で進むことが見込まれます。医療機関の経営層や実務担当者は、自院の体制を再評価し、新たな基準に沿った運用に向けた準備を進めることが求められます。
本記事の内容は、以下のポッドキャストエピソードでも詳しく解説しています。ぜひお聴きください。 令和8年度改定で変わるリハ栄養口腔連携|加算2新設・地ケア病棟拡大の3つのポイント