令和8年度診療報酬改定では、情報通信機器等を用いた外来栄養食事指導料が見直されます。本記事では、医療機関の経営層と実務担当者に向けて、変更点と算定実務のポイントを整理します。今回の見直しは、「情報通信機器又は電話による指導の評価の見直し」と「情報通信機器による指導のみでも算定できる要件の明確化」という2つの柱で構成されます。
改定の背景|なぜオンライン栄養指導を推進するのか
今回の見直しの背景には、患者の継続的なフォローアップを後押しし、通院が続かないことによる治療の中断を防ぎたいというねらいがあると考えられます。従来は、対面と情報通信機器を組み合わせた指導計画が求められ、通院の負担が継続の妨げになる場面がありました。あわせて、長時間の面談だけでなく、短い接点を保ち続けることの効果も重視されるようになっています。通院の負担を軽くすることで、患者の生活実態に沿った食生活の改善が続けやすくなると期待されます。
変更点①|追加的指導の新区分(50点・45点)と電話指導の扱い
1つ目の柱は、情報通信機器又は電話による指導の評価の見直しです。中心となるのは、2回目以降の追加的な指導を評価する新区分の新設です。点数は、自院の管理栄養士が指導する「外来栄養食事指導料1」で50点、診療所が外部の管理栄養士に依頼する「外来栄養食事指導料2」で45点です。
この追加的指導は、運用ルールに特徴があります。指導時間の要件はなく、必要な指導が行われれば時間の長短は問われません。算定は月1回までで、同一月に通常の2回目以降の指導(対面又は情報通信機器)を算定した場合は併算定できません。
見落とされやすいのが、電話指導の位置づけの変更です。従来、電話は「情報通信機器等を用いた場合」としてオンラインと同じ区分で扱われていました。改定後は、電話による指導はこの新設された追加的指導の区分でのみ評価されます。通常のオンライン区分で電話を算定することはできなくなる点に注意が必要です。
変更点②|オンラインのみで算定可能とする要件の明確化
2つ目の柱は、情報通信機器による指導のみでも算定できる要件の明確化です。ポイントは、事前に作成する指導計画の要件です。従来は、対面と情報通信機器を組み合わせた計画が求められていました。改定後は、対面のみ、又は情報通信機器のみの計画でも要件を満たすことが明確化されました。
この明確化に加えて、対面指導が必須となる場面も限定されました。従来は、外来受診した場合に必ず対面指導が求められていました。改定後は、外来受診と同日に外来栄養食事指導を行う場合に限られます。受診日とは別の日であれば、自宅からのオンライン指導が可能です。生活の場である自宅から指導を受けられるため、実際の食生活に即した助言にもつながりやすくなります。
なお、退院した患者については、今回の改定で新たに認められたものではなく、従来から初回より情報通信機器による指導を実施できます。この場合、当該指導を実施するまでの間に指導計画を作成します。情報通信機器のみの計画が認められたことは、こうしたオンライン完結型の運用を後押しするものといえます。
よくある質問(FAQ)
- 電話による栄養指導は、改定後も従来どおりの区分で算定できますか?
- いいえ。改定後は、電話による指導は新設された「追加的指導」の区分(外来栄養食事指導料1で50点、外来栄養食事指導料2で45点)でのみ評価されます。従来の「情報通信機器等を用いた場合」の区分では電話を算定できなくなるため、注意が必要です。
- 追加的指導は、いつ・何回まで算定できますか?
- 初回の指導(対面又は情報通信機器)を実施したうえで、2回目以降に情報通信機器又は電話で行った場合に算定できます。算定は月1回までで、同一月に通常の2回目以降の指導(対面又は情報通信機器)を算定した場合は併算定できません。指導時間の要件はありません。
- オンラインのみで外来栄養食事指導を完結できますか?
- できます。改定後は、指導計画を「対面のみ」「情報通信機器のみ」「両者の組み合わせ」のいずれで作成しても算定可能と明確化されました。対面が必須となるのは外来受診と同日に指導する場合に限られ、退院患者には初回からのオンライン指導も認められます。
まとめ
令和8年度改定の外来栄養食事指導料の見直しは、短時間の電話フォローアップの評価と、オンライン完結型の栄養指導を公式に後押しするものです。医療機関にとっては、患者の日常に寄り添った柔軟な指導を提供しやすくなります。算定要件と運用ルールを正しく押さえ、情報通信機器等を用いた外来栄養食事指導の推進に役立てていただければと思います。
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