令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目「Ⅱ-2 『治し、支える医療』の実現」として、3分野・計11項目の見直しが行われます。後方支援、入退院、リハ栄養口腔管理という幅広い分野にまたがるため、全体像の把握が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、ポッドキャスト番組の該当エピソードの内容を踏まえ、改定の背景から3分野の要点までをコンパクトに整理します。
3分野の見直しの概要は次のとおりです。第1の分野「後方支援の評価」では、カンファレンス頻度の緩和、包括期充実体制加算(80点)の新設、地域包括ケア病棟の初期加算見直しの3項目が盛り込まれます。第2の分野「円滑な入退院の実現」では、入退院支援加算1の新点数(1,000点)の新設や介護支援等連携指導料の再編など4項目が実施されます。第3の分野「リハ栄養口腔管理の推進」では、リハ栄養口腔連携体制加算の2段階再編や口腔管理連携加算(600点)の新設など4項目が含まれます。
「治し、支える医療」が求められる背景
背景には、高齢化の進展に伴う医療と介護の複合的なニーズの増加があります。2040年頃に向けて、85歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少が同時に進行するなかで、これまでの「病気を治す」医療から、退院後の生活を見据えて「治し、支える」医療へのシフトが求められています。
具体的には、病院という建物の中だけで完結するのではなく、地域全体での連携体制の構築や、多職種によるチーム医療の推進が不可欠となっています。今回の改定は、厚生労働省の資料にも示されているとおり、要件のハードルを下げつつ連携と実績を評価する方向性が打ち出されています。
3分野・11項目の見直しポイント
第1の分野:後方支援の評価|カンファ緩和・包括期充実体制加算・初期加算見直し
在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援を担う医療機関の評価が見直されます。見直しは3項目です。
1つ目は、協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件の大幅緩和です。ICTによる情報共有を行う場合は年3回以上から年1回以上に変更されます。ICTを行わない場合は月1回以上から原則年3回以上に緩和され、さらに年2件以上の入院受入れまたは往診の実績がある場合は年1回以上で足ります。
2つ目は、200床未満の中小病院が地域包括医療病棟等で後方支援を担う体制を評価する「包括期充実体制加算」(1日80点・14日間限度)の新設です。中小病院を含めた地域全体の受け皿づくりが後押しされます。
3つ目は、地域包括ケア病棟の在宅患者支援病床初期加算の見直しです。対象が「救急搬送された患者」から「緊急入院した患者」に拡大され、点数のメリハリ化と包括範囲の見直しが行われます。
👉 詳しくはこちら:【令和8年度改定】後方支援の評価が3つ変わる|カンファ緩和・新加算・初期加算見直し
第2の分野:円滑な入退院|入退院支援加算・介護連携指導料・専従要件の見直し
円滑な入退院の実現に向けた見直しは、4項目で構成されます。
1つ目は、入退院支援加算等の見直しです。地域包括医療病棟等を対象に入退院支援加算1の新点数(1,000点)が新設されます。そのほか、検査・画像情報提供加算(200点)の新設、退院困難な要因の拡大、面会を妨げない規定の新設など、7つのポイントで入退院支援が強化されます。介護保険施設等への誘導による金品収受の禁止も施設基準に追加され、不適切な紹介を防ぐルールが明記されます。
2つ目は、介護支援等連携指導料の再編です。従来の400点が「指導料1」に位置づけられ、平時からの連携を評価する「指導料2」(500点)が新設されます。退院間際ではなく、日頃から地域のケアマネジャー等と連携を深めることが高く評価されます。
3つ目は、回復期リハビリテーション病棟における高次脳機能障害者の退院支援体制の新要件化です。情報把握・退院時説明・文書提供の3つの体制が施設基準に追加されます。
4つ目は、感染対策向上加算等における専従要件の見直しです。介護保険施設等への助言時間の上限が月10時間から月16時間に拡大され、専従者の月16時間までの他業務従事も認められます。
👉 詳しくはこちら:【令和8年度改定まとめ】円滑な入退院の実現に向けた4項目の見直しポイントを徹底整理
第3の分野:リハ栄養口腔管理|加算再編・口腔管理連携加算・医科連携訪問加算の新設
高齢者の生活を支えるケアの推進として、4項目の見直しが行われます。
1つ目は、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の2段階再編です。現行の加算(120点)が加算1(150点)と加算2(90点)に再編されます。加算2では土日祝日のリハ提供量や ADL低下割合の基準が緩和され、これまで届出できなかった医療機関にも門戸が開かれます。地域包括ケア病棟にもリハ栄養口腔連携加算(30点)が新設されます。
2つ目は、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の見直しです。言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和され、経腸栄養管理加算の対象患者も拡大されます。
3つ目は、歯科診療を行わない病院が歯科医療機関と連携して入院患者の歯科診療を実現するための「口腔管理連携加算」(600点)の新設です。連携体制の構築、患者の同意を得た文書による紹介、入院中の歯科診療の実施が算定要件となります。
4つ目は、対となる歯科側の評価として「医科連携訪問加算」(500点)が新設されます。病院側と歯科側の双方に高い点数が設定され、連携が相互の経営的メリットに直結する設計です。
👉 詳しくはこちら:【令和8年度改定まとめ】リハ・栄養・口腔管理の4つの見直しを一挙解説
まとめ:届出準備に向けて確認すべきこと
今回の改定では、届出・算定のハードルを下げつつ、多職種・多施設のリアルな連携と実績を高く評価する方向性が明確に示されています。各医療機関は、自院が該当する項目の施設基準と算定要件を確認し、計画的に届出準備を進めることが求められます。