令和8年度診療報酬改定では、患者へ安心・安全な医療を提供する体制を評価する「医療安全対策加算」の要件と評価が見直されました。本記事では、改定で何がどう変わったのかを、医療機関の実務担当者の視点から整理します。届出区分の確認や算定漏れの防止に役立つよう、変更点・実務ポイント・よくある質問の順にまとめました。
本記事の内容は、ポッドキャスト番組でも詳しく解説しています。以下のリンクからぜひお聴きください。
令和8年度改定で医療安全対策加算が大幅引き上げ|85点から160点へ - LISTEN
- 医療安全対策加算が見直された背景
- 変更点①|医療安全対策加算1・2の点数が約2倍に引き上げ(85点→160点)
- 変更点②|医療安全対策地域連携加算1が特定機能病院でも算定可能に
- 一覧表|令和8年度 医療安全関連加算の変更点
- 医療機関が確認すべき実務ポイント
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|医療安全対策加算の見直しのポイント
医療安全対策加算が見直された背景
今回の見直しの背景には、「患者への安心・安全な医療の提供を更に推進する」という基本的な考え方があります。これは改定資料に明記された方針です。医療安全対策加算は、医療安全に組織的に取り組む体制を整えた医療機関を評価する診療報酬であり、令和8年度診療報酬改定では、この加算の要件と評価がまとめて見直されました。
見直しの内容は、大きく2つの変更点に分かれます。1つ目は加算の点数の引き上げ、2つ目は地域連携加算1の算定対象の拡大です。以下で順に確認します。
変更点①|医療安全対策加算1・2の点数が約2倍に引き上げ(85点→160点)
1つ目の変更点は、医療安全対策加算1・2の点数の大幅な引き上げです。医療安全対策加算1は、改定前の85点から160点へと引き上げられました。医療安全対策加算2は、改定前の30点から70点へと引き上げられました。加算1はおよそ1.9倍、加算2はおよそ2.3倍であり、いずれも従来の約2倍の水準です。
加算1は、専従の医療安全管理者を配置するなど、より手厚い安全管理体制を評価する区分です。今回の点数引き上げは、こうした体制づくりにかかる負担を、診療報酬上でより手厚く評価する方向性を示すものと考えられます。
変更点②|医療安全対策地域連携加算1が特定機能病院でも算定可能に
2つ目の変更点は、医療安全対策地域連携加算1の算定対象の拡大です。地域連携加算は、医療安全に関する医療機関間の連携体制を評価する加算です。改定前は、加算1・加算2のいずれも特定機能病院が算定対象から除かれていました。今回の改定では、このうち加算1について、特定機能病院でも算定できるようになりました。
算定対象の扱いは、加算1と加算2で異なります。加算1は、特定機能病院も含めて算定できるようになりました。一方、加算2は、引き続き特定機能病院を算定対象から除いています。なお、地域連携加算の点数自体は、加算1が50点、加算2が20点で、いずれも改定前から据え置きです。今回の見直しは、特定機能病院も地域の医療安全連携に加わることを促すものと考えられます。
一覧表|令和8年度 医療安全関連加算の変更点
4つの加算の変更点を一覧で整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 改定前 | 改定後 | 特定機能病院の算定 |
|---|---|---|---|
| 医療安全対策加算1 | 85点 | 160点 | 算定可能 |
| 医療安全対策加算2 | 30点 | 70点 | 算定可能 |
| 医療安全対策地域連携加算1 | 50点 | 50点(据え置き) | 対象外 → 算定可能 |
| 医療安全対策地域連携加算2 | 20点 | 20点(据え置き) | 引き続き対象外 |
医療機関が確認すべき実務ポイント
今回の改定を受けて、医療機関では算定状況の確認が必要です。まず、自院がどの区分(加算1または加算2)を届け出ているかを確認しましょう。次に、地域連携加算を届け出ている場合は、改定後の点数で正しく算定できているかを点検します。
とくに特定機能病院では、地域連携加算1の取り扱いに注意が必要です。改定前は算定対象外だったため、新たに算定するには施設基準への適合と届出の確認が前提となります。算定漏れを防ぐため、自院の医療安全管理体制と地域連携の状況を早めに見直しておくとよいでしょう。なお、具体的な施設基準や算定要件は厚生労働省の告示・通知で定められるため、最終的な判断は公式資料で確認してください。
よくある質問(FAQ)
- 医療安全対策加算1と2は、令和8年度改定でそれぞれ何点になりましたか?
- 医療安全対策加算1は改定前の85点から160点へ、医療安全対策加算2は30点から70点へ引き上げられました。加算1はおよそ1.9倍、加算2はおよそ2.3倍で、いずれも従来の約2倍の水準です。
- 特定機能病院は、医療安全対策地域連携加算を算定できますか?
- 医療安全対策地域連携加算1は、令和8年度改定により特定機能病院でも算定できるようになりました。一方、地域連携加算2は引き続き特定機能病院が算定対象外です。点数は加算1が50点、加算2が20点で、いずれも改定前から据え置きです。
- 今回の改定で、医療安全対策地域連携加算の点数は変わりましたか?
- 地域連携加算の点数自体は変わっていません。加算1が50点、加算2が20点で、いずれも改定前から据え置きです。今回見直されたのは、加算1の算定対象に特定機能病院が加わった点です。
まとめ|医療安全対策加算の見直しのポイント
令和8年度改定における医療安全対策加算の見直しは、2つの変更点に集約されます。1つ目は、加算1・2の点数がそれぞれ約2倍に引き上げられたことです。2つ目は、地域連携加算1が特定機能病院でも算定できるようになったことです。いずれも、患者への安心・安全な医療提供を更に推進する観点から行われた見直しです。とくに特定機能病院では新たに算定対象が広がるため、自院の届出・算定状況を早めに確認しておきましょう。