病院事務長 岡大徳の実務・制度ナビ|診療報酬改定・施設基準・医療DX

急性期から回復期まで幅広い医療機関で実務を経験し、現在は病院事務長として現場を支える岡大徳が、複雑な制度や専門用語を実務家の視点でわかりやすく解説します。より深い時事考察や最新ニュースはSubstackにて配信中。

【令和8年度診療報酬改定】リンパ浮腫複合的治療料|最大500点への引き上げと時間区分の新設

令和8年度診療報酬改定において、リンパ浮腫複合的治療料の評価が見直されます。本稿では、より実態に即した評価を行う観点から実施される今回の改定案について、現行制度と比較しながら解説します。

リンパ浮腫複合的治療料 令和8年度改定の全体像【結論】

令和8年度(2026年)の診療報酬改定では、リンパ浮腫複合的治療料が大きく見直されます。結論から申し上げますと、今回の見直しの柱は「重症例における時間区分の新設」と「全体的な点数の引き上げ」の2点です。重症例の点数は最大500点へ引き上げられ、重症例以外の点数も100点から150点へと引き上げられます。この見直しは、治療にかけた時間や手間を、より実態に即して評価することを目的としています。

改定の背景|現行の「一律評価」が抱えていた課題

今回の改定の背景には、リンパ浮腫複合的治療の実態と、現行の評価との間にあった乖離があります。

第1に、治療内容そのものの負担です。リンパ浮腫複合的治療は、一般に、リンパ液の流れを促す用手的なリンパドレナージ、弾性包帯による圧迫療法、スキンケアなどを組み合わせて行われます。重症例では、これらの手技に長時間にわたり付きっきりで対応するケースもあります。

第2に、治療時間と評価の不均衡です。現行の制度では、どれだけ治療時間がかかっても、重症例の評価は一律200点に据え置かれていました。このため、時間や手間が点数に反映されにくい点が課題として指摘されてきました。

改定案の詳細①|重症例の時間区分と最大500点への引き上げ

こうした課題に対し、改定案では重症例に「時間区分」を新設し、治療時間に応じた段階的な評価へと改めます。具体的な点数は、次のとおりです。

  • 60分以上: 500点(現行200点の2.5倍)
  • 40分以上60分未満: 350点(新設)

この見直しにより、治療時間に個人差が出やすい重症例に対して、時間に応じたきめ細かな評価が行われるようになります。あわせて、新たに「40分」と「60分」が算定上の重要なしきい値となります。

改定案の詳細②|重症例以外(区分2)は150点へベースアップ

重症例以外(区分2)については、時間区分を設けず、現行の100点から150点(1.5倍)へ一律に引き上げられます。重症例とは異なり、治療時間にかかわらず一律150点で評価される点が特徴です。

時間区分を設けないのは、標準的なケアのたびに時間を計測・記録する事務負担を避けつつ、ベースとなる点数を底上げする狙いがあると考えられます。

まとめ|重症度と治療時間に応じた評価へ

令和8年度改定におけるリンパ浮腫複合的治療料の見直しは、処置の結果だけでなく、そこに注がれた時間が再評価された事例といえます。重症例には時間区分が新設されて最大500点へ、重症例以外も150点へと引き上げられます。重症度と治療時間に応じた評価へと近づくことで、より実態に即した制度へ移行する見直しです。

なお、算定にあたっては、必ず最新の告示・通知をご確認ください。

本トピックの音声解説は、以下のLISTENエピソードからお聴きいただけます。

リンパ浮腫複合的治療料が最大500点へ|令和8年度改定で時間区分を新設

よくある質問(FAQ)

リンパ浮腫複合的治療料は令和8年度改定で何点になりますか?
重症例は治療時間に応じた区分が新設され、60分以上で500点、40分以上60分未満で350点となります。重症例以外(区分2)は時間区分を設けず、一律150点です。現行は重症例が一律200点、重症例以外が100点でした。
重症例の「時間区分」とは何ですか?
重症例の点数を治療時間で段階的に分ける仕組みです。改定後は60分以上が500点、40分以上60分未満が350点となります。現行は時間にかかわらず一律200点だったため、40分と60分が新たな算定上のしきい値になります。
重症例以外(区分2)でも治療時間による区別はありますか?
改定案では、重症例以外に時間区分は設けられていません。治療時間にかかわらず一律150点で評価されるため、点数の算定上、時間による区別は生じません。実際の算定や記録の取り扱いは、最新の告示・通知をご確認ください。