令和8年度診療報酬改定で、訪問看護ステーションへの新たな評価が導入されます。新設される「機能強化型訪問看護管理療養費4」は、9,000円の評価として設けられる一方、算定にあたっては複数の施設基準を満たす必要があります。
特に注目すべきは、難病等の重症者受け入れと、重点的な精神科訪問看護の「双方」を担うことが必須条件となっている点です。本記事では、9,000円を算定するための6つの要件を、訪問看護ステーションの実務者目線で整理します。
9,000円算定の核心は「双方の機能を担うこと」
機能強化型訪問看護管理療養費4の最大の特徴は、2つの機能を同時に担うことが求められる点です。重症者受け入れと精神科訪問看護のどちらか一方だけでは、この評価は算定できません。
「重症者受け入れ機能」は、特掲診療料の施設基準等別表第七・第八に掲げる疾病等の利用者への指定訪問看護を指します。
「精神科訪問看護機能」は、重点的な支援を要する精神障害を有する者への指定訪問看護を指します。
この2つの機能を同時に担い、かつ24時間対応できる体制を整えていることが、9,000円算定の前提となります。
算定要件を3つの視点で整理
施設基準は6項目ありますが、「インプット・インフラ・アウトプット」の3つの視点で整理すると、実務での準備項目が見えてきます。
インプット:人員配置の基準
人員配置については、2つの基準があります。
1つ目は、常勤の保健師、助産師、看護師または准看護師が4人以上いること。2つ目は、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準第二条第一項に規定する看護師等のうち、6割以上が同項第一号に規定する看護職員であることです。
スタッフの数だけでなく、有資格者の比率も基準に含まれているため、両方の観点で確認することが重要です。
インフラ:24時間対応体制
体制面では、24時間対応体制加算の届出が必須となります。
この届出は、利用者からの緊急の連絡に24時間応じられる体制を担保するものです。難病等の重症者と、支援ニーズの高い精神科利用者の両方に対応できる体制が前提となります。
アウトプット:3つの実績要件
実績要件は3項目あり、それぞれ異なる側面の実績が問われます。
1つ目は、訪問看護の対象者に関する実績です。別表第七・第八の対象者と、重点的な支援を要する精神障害を有する者の双方への指定訪問看護で、相当な実績を有することが求められます。
2つ目は、医療機関との連携実績です。退院時の共同指導と、主治医の指示に係る保険医療機関との連携で、相当な実績を有することが求められます。
3つ目は、地域貢献の実績です。地域の保険医療機関、他の訪問看護ステーション、住民等に対する研修・相談対応、関係機関との連携で、相当な実績を有することが求められます。
算定に向けて実務で確認すべき6つのポイント
自事業所が要件を満たすか確認するため、以下の6点をチェックしましょう。
- 常勤の看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)が4名以上いるか
- 看護師等のうち6割以上が看護職員を占めているか
- 24時間対応体制加算を届け出ているか
- 別表第七・第八の対象者と、精神科の重点支援対象者の「双方」に訪問実績があるか
- 退院時共同指導と主治医連携の実績データが蓄積されているか
- 地域の医療機関や住民への研修・相談対応の実績があるか
すべての項目で「相当な実績」が求められるため、現時点の実績データを整理し、改定までに体制を見直すことが望ましいでしょう。
まとめ
機能強化型訪問看護管理療養費4は、9,000円の新たな評価として設けられます。算定には、重症者受け入れと精神科訪問看護の双方の機能、24時間対応体制、医療機関や地域との連携・研修実績など、6項目の施設基準を満たす必要があります。算定を目指す事業所は、現在の運用データを6つの基準と照らし合わせ、早期に準備を進めることが重要となります。
本改定の詳細や地域医療における訪問看護ステーションの役割については、LISTENの当該エピソードでも解説しています。ぜひあわせてご視聴ください。