この記事の3行サマリー
- 令和8年度診療報酬改定で、在宅療養指導管理材料加算の算定回数が「3月に3回」に統一されます
- 「月1回」「2月に2回」「3月に3回」と3種類に分かれていた現行ルールが、通則への一本化によりシンプルになります
- 改定の影響は現行ルール別に3グループに分かれ、すべての加算で算定機会が拡大するわけではありません
令和8年度診療報酬改定では、患者ごとの適切な医療提供を推進する観点から、在宅療養指導管理材料加算の算定要件が見直されます。具体的には、これまで項目ごとに異なっていた算定回数のルールが「3月に3回」に統一されます。本記事では、改定の背景と具体的な変更点、自院への影響を見分けるポイントについて解説します。
- この記事の3行サマリー
- なぜ算定要件が見直されるのか|改定の背景と目的
- 何が変わるのか|算定要件統一の具体的な内容
- 自院への影響度はどう判断する?|3つの影響グループ分類
- 自院の加算はどのグループ?|見分け方のチェックポイント
- よくある質問|在宅療養指導管理材料加算の改定について
- 施行に向けて医療機関が取り組むべきこと
- まとめ|「3月に3回」統一は患者ケアの質向上が真の目的
なぜ算定要件が見直されるのか|改定の背景と目的
改定の背景には、在宅療養指導管理材料加算の算定回数ルールが複雑化していた現状があります。これまで、加算項目ごとに「月1回」「2月に2回」「3月に3回」という3種類のルールが混在しており、医療機関の事務担当者にとって算定実務の負担となっていました。
今回の改定の目的は、単なる事務負担の軽減にとどまりません。算定要件をシンプルに統一することで、複雑なルール確認に奪われていた時間を削減し、患者ごとの状態に応じたきめ細かな医療提供へ振り向けるという明確な臨床的意図があります。
何が変わるのか|算定要件統一の具体的な内容
算定要件の統一内容は、通則の改定と個別項目の改定の2点に整理されます。
第1に、通則の改定です。現行の「特に規定する場合を除き、月1回に限り算定する」という規定が、「特に規定する場合を除き、3月に3回に限り算定する」に変更されます。
第2に、個別項目の改定です。各加算項目の条文から重複する回数規定が削除され、通則へ一本化されます。これにより、これまで個別条文に記載されていた「3月に3回に限り」「2月に2回に限り」という文言は、すべて削除されることになります。
自院への影響度はどう判断する?|3つの影響グループ分類
本改定の最重要ポイントは、改定の影響が現行ルール別に3つのグループに分かれる点です。すべての加算で算定機会が拡大するわけではないため、自院で算定している加算がどのグループに該当するかを確認する必要があります。
第1グループは、現行で通則の「月1回」ルールが適用されていた加算です。改定後は通則の「3月に3回」ルールが適用されるため、算定機会の上限が引き上がります。具体的にどの加算が該当するかは、原典の改定資料からは明示的に読み取れないため、各医療機関で現行条文を個別に確認することが必要です。
第2グループは、現行で「2月に2回」だった加算です。間歇注入シリンジポンプ加算などが該当します。こちらも「3月に3回」のルールが適用されるため、算定頻度の上限がわずかに引き上げられます。
第3グループは、現行ですでに「3月に3回」だった加算です。血糖自己測定器加算、血中ケトン体自己測定器加算(40点)に加え、酸素ボンベ加算、酸素濃縮装置加算、液化酸素装置加算、呼吸同調式デマンドバルブ加算、特殊カテーテル加算、在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算など、改定資料で「同様」として参照規定が示されている多くの加算が該当します。これらは算定回数に変更はなく、条文から重複する規定が削除されるのみで、事務処理の簡素化が主な恩恵となります。
自院の加算はどのグループ?|見分け方のチェックポイント
自院で算定している加算がどのグループに該当するかは、現行の算定要件条文を確認することで判断できます。判断の手順は次の3ステップです。
ステップ1として、現行条文で対象加算の項目を確認します。ステップ2として、その項目の条文に「○月に○回に限り」という記載があるかを確認します。ステップ3として、記載があればその回数(2月に2回または3月に3回)に従ってグループを判定します。記載がなくても、他の加算の条文で「※同様」として参照されている場合は、参照元のグループに該当します。
たとえば間歇注入シリンジポンプ加算は、現行条文に「2月に2回に限り」と明記されているため第2グループに該当します。一方、血糖自己測定器加算は「3月に3回に限り」と明記されているため第3グループです。酸素ボンベ加算など改定資料で「※同様」と血糖自己測定器加算を参照している項目も、第3グループに該当します。
なお、いずれの個別規定にも該当しない場合は、現行通則の「月1回」が適用されている第1グループと判断できます。判定に迷う場合は、所属する都道府県や地区医師会、レセプト関連の問い合わせ先に確認することを推奨します。
よくある質問|在宅療養指導管理材料加算の改定について
Q1:すべての在宅療養指導管理材料加算で算定機会が増えるのか?
いいえ、そうではありません。算定機会が増えるのは第1グループ(現行月1回)と第2グループ(現行2月に2回)の加算のみです。第3グループ(現行3月に3回)の加算は、算定回数自体に変更はなく、条文整理のみが行われます。酸素ボンベ加算や血糖自己測定器加算など現行で「3月に3回」だった加算は、算定頻度に影響がない点に注意が必要です。
Q2:レセプトコンピュータの改修は必須か?
はい、改修が必要です。算定回数のチェックロジックが項目ごとに異なっていたものが、通則の「3月に3回」に統一されるため、システム側の算定ロジックも合わせて更新する必要があります。施行日までにエラーが出ない運用体制を整備しておくことが重要です。
Q3:間歇注入シリンジポンプ加算は具体的にどう変わるのか?
現行の「2月に2回」から「3月に3回」へと算定上限が変更されます。これに伴い、患者ごとの材料供給計画と算定タイミングを連動させる必要があります。従来の固定的なスケジュールから、患者の状態に応じた実態に即した計画へと組み直すことが推奨されます。
施行に向けて医療機関が取り組むべきこと
本改定に伴い、医療機関には主に2つの対応が求められます。
第1に、算定マニュアルとシステムの更新です。改定施行までに、レセプトコンピュータや電子カルテの算定ロジックを確実に更新しておく必要があります。算定マニュアルについても、項目ごとに異なっていた回数ルールを撤廃し、通則の「3月に3回」に統一して記載し直すことが必要です。
第2に、患者ごとの材料供給計画の見直しです。算定機会が拡大する第1・第2グループにおいては、従来の固定的なスケジュールから、患者の状態変化を見越した実態に即した計画へと組み直すことが重要です。
まとめ|「3月に3回」統一は患者ケアの質向上が真の目的
令和8年度診療報酬改定における在宅療養指導管理材料加算のルール統一は、事務作業のための事務作業を減らし、医療の質を上げるための前向きな変更です。医療機関においては、自院で算定している加算の影響を正確に把握し、早めの運用体制整備を進めることが求められます。
本記事の内容は、以下のLISTENエピソードでも詳しく解説しています。音声での解説もあわせてご活用ください。