病院事務長 岡大徳の実務・制度ナビ|診療報酬改定・施設基準・医療DX

急性期から回復期まで幅広い医療機関で実務を経験し、現在は病院事務長として現場を支える岡大徳が、複雑な制度や専門用語を実務家の視点でわかりやすく解説します。より深い時事考察や最新ニュースはSubstackにて配信中。

【令和8年度診療報酬改定】在宅療養指導料の見直し|情報通信機器による指導の新設(148点)

令和8年度診療報酬改定では、外来や在宅医療など様々な場面でオンライン診療の推進が重点課題とされています。在宅療養指導料も、この流れの中で見直されます。本記事は、在宅療養指導料に新設される「情報通信機器による指導」について、対象患者と算定要件を実務目線で整理します。

本記事の内容は、ポッドキャスト番組でも詳しく解説しています。音声で確認したい方は、LISTENのエピソードをお聴きください。

1. 改定の要点|在宅療養指導料に情報通信機器の評価(148点)を新設

今回の見直しは、在宅療養指導料に情報通信機器を用いた指導の評価を新設するものです。在宅療養指導料は、初回と2回目以降に区分されます。2回目以降の情報通信機器による指導は、148点で新たに評価されます。この評価の対象は、在宅自己注射指導管理料を算定する患者と、退院後1月以内の慢性心不全の患者に限られます。

以下では、見直しの背景、点数体系と対象患者、算定上の留意点を順に解説します。

2. 見直しの背景|患者の通院負担の軽減と業務の効率化

見直しの背景には、患者と医療機関の双方に関わる2つのねらいがあります。

第1のねらいは、患者のセルフケア支援の充実と負担軽減です。重い心不全を乗り越えて退院した直後の患者にとって、経過観察のための通院自体が身体的な負担やリスクになる場合があります。そこで、対面と情報通信機器を組み合わせた指導を推進します。この組み合わせは、通院に伴う負担を抑えます。さらに、継続的なセルフケア支援を可能にします。

第2のねらいは、医療機関の業務効率化と持続可能なケアへの移行です。情報通信機器を活用すると、医療者側も移動や訪問の準備、調整にかかる時間を削減できます。その結果、点数が対面より低くても、効率的に多くの患者をフォローする体制を築けます。

3. 点数体系と対象患者|オンライン指導(148点)の算定要件

今回の改定では、在宅療養指導料の点数体系と対象患者の要件が再編されます。

点数体系の再編|170点の1区分から3区分へ

現行の在宅療養指導料は、170点の1区分です。改定後は、初回と2回目以降の3区分に再編されます。区分ごとの点数は、次のとおりです。

  • 初回(イ):対面で行った場合 170点
  • 2回目以降(ロ(1)):対面で行った場合 170点
  • 2回目以降(ロ(2)):情報通信機器を用いた場合 148点(新設)

初回(イ)に、情報通信機器の選択肢はありません。新設された148点は、2回目以降(ロ(2))にのみ適用されます。

オンライン指導の対象患者|算定できる2つの条件

情報通信機器による指導(ロ(2))の対象は、次の2種類の患者に限られます。

  1. 在宅自己注射指導管理料(C101)を算定している患者
  2. 退院後1月以内の慢性心不全の患者

この2種類の患者には、共通点があります。こまめな経過観察が必要な一方で、通院のハードルが高いという点です。さらに、画面越しでも安全性を確認しやすいという特徴もあります。たとえば、顔のむくみや呼吸のペースは、映像で観察できます。自己注射の手技も、視覚的に確認できます。こうした層をねらいとして、オンライン指導が導入されています。

なお、この2種類以外の在宅療養患者は、2回目以降も対面での指導が必要です。その場合は、これまでどおり170点を算定します。

算定上の留意点|月1回の原則と初回の特例

在宅療養指導料は、患者1人につき月1回の算定が原則です。ただし、初回(イ)を算定する月に限り、特例があります。この月は、初回(イ)と2回目以降(ロ)を合算して、月2回まで算定できます。情報通信機器による指導も、この月1回の枠内で算定します。

4. まとめ|対面とオンラインの使い分けが実務の鍵

今回の見直しにより、在宅療養指導料では対面とオンラインを組み合わせた指導が推進されます。対象患者を絞り込むことで、医療的な安全性を保ちながら、患者の通院リスクを抑える実務的なアプローチといえます。医療機関には、患者の負担軽減と業務効率化を両立させる、本制度の適切な運用が求められます。

詳細な一次情報は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定のページをご参照ください。

よくある質問(FAQ)

在宅療養指導料の情報通信機器による指導(148点)は、すべての患者が対象ですか?
いいえ。2回目以降の情報通信機器による指導(148点)の対象は、在宅自己注射指導管理料(C101)を算定している患者と、退院後1月以内の慢性心不全の患者の2種類に限られます。それ以外の患者は、2回目以降も対面での指導(170点)が必要です。
初回からオンライン(情報通信機器)で指導できますか?
いいえ。初回(イ)は対面のみで、170点を算定します。情報通信機器による指導を選べるのは2回目以降(ロ(2))に限られ、その点数は148点です。
在宅療養指導料の算定回数に制限はありますか?
患者1人につき月1回の算定が原則です。ただし初回(イ)を算定する月に限り、初回(イ)と2回目以降(ロ)を合算して月2回まで算定できます。情報通信機器による指導も、この月1回の枠内で算定します。