病院事務長 岡大徳の実務・制度ナビ|診療報酬改定・施設基準・医療DX

急性期から回復期まで幅広い医療機関で実務を経験し、現在は病院事務長として現場を支える岡大徳が、複雑な制度や専門用語を実務家の視点でわかりやすく解説します。より深い時事考察や最新ニュースはSubstackにて配信中。

【令和8年度改定】服薬管理指導料4に新区分ロ・ハ|在宅オンライン統合で算定できない加算4つ

令和8年度診療報酬改定で、在宅患者へのオンライン服薬指導は、算定する項目そのものが入れ替わります。在宅患者オンライン薬剤管理指導料と在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料が廃止され、服薬管理指導料4に新設される「ロ」と「ハ」へ統合されるためです。点数は59点で据え置かれますが、これまで算定できていた加算の一部が算定できなくなります。本記事では、どの区分を選ぶのか、何が算定できなくなるのかを、実務の判断順に整理します。

なぜ調剤報酬は簡素化されるのか

今回の見直しは、情報通信機器を用いた服薬指導の評価が分散していた状態を解消するものです。現行では、在宅患者オンライン薬剤管理指導料(59点)、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料(59点)、服薬管理指導料4(45点又は59点)の3か所に評価が分かれています。

この分散が、算定要件を読み解く負担を大きくしていました。在宅向けの2項目は、いずれも訪問系の管理指導料の「注」の中に置かれた枝番の評価であり、条文をたどらなければ全体像がつかめない構造だったからです。そこで今回、類似する算定項目を統合し、服薬管理指導料4に集約します。

廃止される2項目と、統合先の服薬管理指導料4

廃止されるのは、在宅患者向けの59点のオンライン評価2項目です。それぞれ、次の区分が受け皿となります。

  • 在宅患者オンライン薬剤管理指導料(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注2)→ 服薬管理指導料4の
  • 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料(在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注1ただし書)→ 服薬管理指導料4の

つまり、計画的な在宅オンラインはロ、急変時の在宅オンラインはハ、という対応です。この2つが加わることで、服薬管理指導料4は現行の2区分から4区分へと広がります。

服薬管理指導料4はイ・ロ・ハ・ニの4区分に

再編後の区分と点数は、次のとおりです。

区分 対象 点数
原則3月以内に再度処方箋を提出した患者 45点
在宅で療養する通院困難な患者(ハを除く) 59点
ロのうち、患者の状態の急変等に伴う場合 59点
イからハまで以外の場合 59点

新設はロとハの2つで、イは現行の内容がそのまま維持されます。注意したいのがニです。ニは現行のロを引き継ぐ区分ですが、在宅で療養する通院困難な患者はロまたはハへ移るため、ニの対象範囲は現行のロより狭くなります。また、イの対象患者であっても手帳を提示しない場合は、現行ではロ、改定後はニで算定します。点数はどちらも59点のため収入への影響はありませんが、レセプト上の区分は変わります。

ロとハをどう使い分けるか

ロとハの判断で、実務上つまずきやすい点が2つあります。実施日と算定回数です。

実施日では、訪問薬剤管理指導と同日に行うオンライン指導がロの対象外となります。訪問した翌日にオンラインで指導すればロを算定できますが、同じ日に両方を行った場合は算定できません。訪問日とオンライン実施日を記録し、重複していないか確認する運用を整えてください。

算定回数では、対面とオンラインを通算して数えます。ロは在宅患者訪問薬剤管理指導料と合わせて、ハは在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料と合わせて、それぞれ月4回が上限です。末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者は、週2回かつ月8回まで拡大されます。オンラインの分を別枠で上乗せできるわけではない、という点が要注意です。

ロ・ハでは算定できない加算が4つある

今回の改定で経営面の影響が最も大きいのが、加算の制限です。ロまたはハを算定する場合、次の4つは算定できません。

  • 特定薬剤管理指導加算1
  • 特定薬剤管理指導加算2
  • 特定薬剤管理指導加算3
  • 吸入薬指導加算

改定案では、これら各注に「4のロ又はハを算定する場合においては加算しない」との規定が追加されています。ロとハが訪問系の管理指導料から移された区分であることを踏まえた整理と考えられますが、理由そのものは資料に示されていません。

影響を受けやすいのは、ハイリスク薬を服用する在宅患者と、喘息や慢性閉塞性肺疾患で吸入薬を使用する在宅患者です。該当患者が多い薬局では、月あたりの影響額を改定前に試算しておくと、対応の優先順位を判断しやすくなります。

一方で、併算定は明確になる

制限が増える一方で、算定しやすくなる部分もあります。在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者への併算定です。

現行の注11では、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者に対し、服薬管理指導料は原則として算定できませんでした。改定後は、この例外に「4のロ若しくはハを算定する場合」が加わります。訪問の対象患者であっても、別日にオンラインで指導すればロやハを算定できることが、条文上はっきりします。

なお、調剤基本料の注2に規定する保険薬局で服薬管理指導料4を算定できない点は、現行から変わりません。

改定前に準備しておきたいこと

実務対応は、システム設定と記録運用の2つに整理できます。

第一に、レセプトコンピュータの算定区分を振り替えてください。計画的な在宅オンラインはロ、急変時の在宅オンラインはハに置き換わります。あわせて、ロとハで加算4つが自動的に除外される設定になっているかを確認します。

第二に、訪問日とオンライン実施日を突き合わせられる記録に改めてください。同日実施の判定と、対面と通算した回数管理の両方に必要になります。

なお、麻薬管理指導加算のように、統合後の取扱いが資料から読み取れない項目も残っています。今回の資料に示された範囲では、服薬管理指導料に麻薬管理指導加算は設定されていません。廃止前にオンラインで算定できた22点に相当する評価がどうなるかは、資料からは確認できないということです。あわせて、服薬管理指導料の注8および注9は「(略)」とされ、条文が示されていません。最終的な取扱いは、告示、通知および疑義解釈で確定します。

よくある質問(FAQ)

訪問薬剤管理指導を行った日に、同じ患者へオンラインで服薬指導した場合、服薬管理指導料4のロを算定できますか。
算定できません。ロは、訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除いて算定する区分だからです。訪問した翌日など、別の日にオンラインで指導した場合は算定できます。訪問日とオンライン実施日が重複していないか、記録で確認できる運用にしてください。
服薬管理指導料4のロやハを算定するとき、特定薬剤管理指導加算1は算定できますか。
算定できません。ロまたはハを算定する場合、特定薬剤管理指導加算1、特定薬剤管理指導加算2、特定薬剤管理指導加算3、吸入薬指導加算の4つは算定できないと規定されています。ハイリスク薬や吸入薬を扱う在宅患者が多い薬局では、影響額を事前に試算しておくことをおすすめします。
在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者に、服薬管理指導料4を算定できますか。
ロまたはハであれば算定できます。改定後の注11では、算定できない場合の例外に「4のロ若しくはハを算定する場合」が加わるためです。従来から例外とされている、薬学的管理指導計画に係る疾病とは別の疾病または負傷に係る臨時の投薬が行われた場合も、引き続き算定できます。

まとめ

令和8年度改定の調剤報酬の簡素化は、算定項目を統合して条文を整理する見直しです。ただし、算定できる金額が変わらないだけの改定ではありません。ロとハでは加算4つが算定できなくなるため、在宅患者の構成によっては収入に差が生じます。改定前に、レセプトコンピュータの区分設定と、訪問日・オンライン実施日の記録運用を見直しておきましょう。

本記事の内容は、ポッドキャスト番組でも詳しく解説しています。音声での解説は、以下のリンクからお聴きいただけます。

LISTENでエピソードを聴く