病院事務長 岡大徳の実務・制度ナビ|診療報酬改定・施設基準・医療DX

急性期から回復期まで幅広い医療機関で実務を経験し、現在は病院事務長として現場を支える岡大徳が、複雑な制度や専門用語を実務家の視点でわかりやすく解説します。より深い時事考察や最新ニュースはSubstackにて配信中。

【令和8年度診療報酬改定】発症早期・休日リハビリテーションの新評価|点数と算定要件の変更点を解説

令和8年度診療報酬改定では、患者の早期回復と社会復帰を後押しする観点から、発症早期と休日のリハビリテーションの評価が大きく見直されます。柱は2つで、早期リハビリテーション加算の「見直し」と、休日リハビリテーション加算の「新設」です。この記事では、医療機関の実務目線で、点数・算定要件の変更点と運用上の注意点を整理します。

改定の背景|「入院直後の遅れ」と「週末の空白」を埋める

今回の改定の出発点は、リハビリテーションの効果は発症から早く始めるほど高い、という臨床的な事実です。ところが現行の早期リハビリテーション加算では、入院直後の集中的な介入を十分に促す仕組みになっていませんでした。

もうひとつの課題が、週末の空白です。たとえば金曜日に入院した患者では、土日にリハビリが提供されず、回復のプロセスに切れ目が生じることがありました。この「入院直後の遅れ」と「週末の空白」をなくし、いかに早く、途切れなく患者を元の生活へ戻すかが、改定の主眼に置かれています。

早期リハビリテーション加算の見直し|起算日・点数・算定期間の3つの変更

早期リハビリテーション加算は、起算日・点数・算定期間の3点で見直されます。いずれも、入院直後のより早い介入を促す方向でそろっています。

第1の変更は、起算日の統一です。現行は疾患別に起点が異なり、心大血管疾患等では「発症等から7日目又は治療開始日の早い方」などを用いていました。改定後は、これらがすべて「入院した日」に統一され、判断がシンプルになります。ただし例外があり、他院からの転院では転院前の医療機関に入院した日を、脳血管疾患等の入院中以外の患者(一定の脳卒中退院患者等)では退院前の入院日を起算日とします。

第2の変更は、点数のメリハリです。現行は期間を通じて一律1単位25点でした。改定後は、入院した日から起算して3日目以内を1単位60点へ増点し、4日目以降を25点とします。これにより、入院した日から3日目以内(最初の3日間)に集中的なリハビリを行う動機づけが強まります。

第3の変更は、算定期間の短縮です。現行は起算日から30日でしたが、改定後は入院した日から14日目までに半減します。算定できる期間を絞り込むことで、「超早期」への重点化という方向性が明確に示されています。

休日リハビリテーション加算の新設|土日祝の提供体制を評価

休日であっても平日と同様にリハビリを提供する体制を後押しするため、休日リハビリテーション加算が新たに設けられます。週末に生じていたケアの空白を埋めることがねらいです。

具体的には、土曜・日曜・祝日にリハビリを行った場合、1単位につき25点が加算されます。算定対象は入院中の患者が基本ですが、脳血管疾患等と運動器では、一定の脳卒中退院患者も対象に含まれます。

注意したいのは、算定期間の起算ルールが早期加算とは独立している点です。心大血管疾患等では発症等から7日目又は治療開始日の早い方から30日目まで、脳血管疾患等では発症等から30日目までが限度となります。早期加算の「入院日から14日」とは別物として扱う必要があります。

対象となる5つのリハビリテーション料|2つのグループに整理

今回の見直しは、合計5つのリハビリテーション料に適用されます。休日加算の起算ルールの違いから、2つのグループに分かれます。

第1グループは、心大血管疾患リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料です。休日加算の起算日に「発症等から7日目又は治療開始日の早い方」を用います。

第2グループは、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料です。休日加算の起算日に「発症、手術又は急性増悪」を用います。

実務への影響|「二重の起算日管理」と人材確保が鍵

現場でまず備えたいのが、起算日の二重管理です。早期加算は「入院した日」から、休日加算は「発症等」から、というように、1人の患者に対して2つのカレンダーが並行して走ります。算定漏れや誤算定を防ぐには、電子カルテや医事システムで両方の起算日を同時に追える運用が欠かせません。

もうひとつの鍵が、土日祝のスタッフ確保です。休日加算を取りこぼさないためには、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の勤務シフトを365日体制へ組み替える必要があります。一方で、医療現場は深刻な人手不足にあり、休日の人員をどう確保するかが今後の現実的な課題となります。入院直後3日間の体制構築とあわせて、各医療機関での体制確認をおすすめします。

よくある質問(FAQ)

早期リハビリテーション加算の起算日は、改定後どうなりますか?
疾患を問わず「入院した日」に統一されます。現行は心大血管疾患等で「発症等から7日目又は治療開始日の早い方」など料ごとに起点が異なっていましたが、入院日に一本化されます。ただし、他院からの転院では転院前の医療機関に入院した日、脳血管疾患等の入院中以外の患者では退院前の入院日が起算日となる例外があります。
早期リハビリテーション加算は何点を、いつまで算定できますか?
入院した日から3日目以内は1単位につき60点、4日目から14日目までは25点です。15日目以降は算定できません。現行の「一律25点・30日まで」と比べ、最初の3日間に点数が手厚く配分され、算定期間は半分の14日に短縮されています。
休日リハビリテーション加算は、早期加算と算定期間が同じですか?
いいえ、起算日が異なります。休日加算は早期加算の「入院日から14日」とは独立しており、料ごとに定められた起算日から30日目までが限度です。心大血管疾患等は発症等から7日目又は治療開始日の早い方、脳血管疾患等は発症等を起点とします。早期加算と休日加算で2つのカレンダーを並行して管理する必要があります。

まとめ

令和8年度診療報酬改定は、発症早期と休日のリハビリテーションを2つの柱で評価し直すものです。早期リハビリテーション加算は、起算日を「入院した日」に統一し、3日目以内を60点へ増点し、算定期間を14日へ短縮します。休日リハビリテーション加算は、土日祝のリハビリを1単位25点で新たに評価します。入院直後の集中と週末の空白の解消を、現場の体制づくりとシステム運用の両面から進めていくことが求められます。

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