令和8年度診療報酬改定で、連携型機能強化型在宅療養支援診療所(以下、連携型機能強化型在支診)の施設基準が2区分に分割されます。新設の「区分イ」と従来体制をベースとする「区分ロ」のどちらで届出を行うべきか、各医療機関は判断を迫られることになります。
本記事では、両区分の要件を比較表で整理したうえで、自院に適した区分を選ぶための判断ポイントと、現場でよくある疑問への回答をまとめました。届出準備に向けた実務的な視点で解説します。
なお、本テーマの全体像については、LISTENのポッドキャストエピソードでも音声で解説しています。通勤時間などにあわせてご活用ください。
区分イ・区分ロの要件比較表
両区分の違いを一覧で確認できるよう、要件を比較表にまとめました。
| 比較項目 | 区分イ(新設) | 区分ロ |
|---|---|---|
| 評価の趣旨 | 自院完結体制の評価強化 | 連携体制による地域カバー |
| 24時間連続往診 | 自院医師により月4回以上必須 | 規定なし(連携でカバー可) |
| 「自院の医師」の定義 | 平時の訪問診療医、または往診10回以上等の厳格な要件あり | 該当なし |
| 24時間往診体制の確保 | 必須(共通要件) | 必須(共通要件) |
| 担当医氏名・担当日の文書提供 | 必須(共通要件) | 必須(共通要件) |
| ICT代替措置(医療資源少地域) | 適用あり | 適用あり |
区分イが「自院単独での実働」を厳しく問う一方、区分ロは従来の連携体制ベースでの運用を継続できる位置づけとなっています。
自院がどちらの区分で届出すべきか
届出区分の判断は、以下の2つの問いに順番に答えることで整理できます。
第1の問いは、「平時から訪問診療を行う医師(または要件を満たす代診医)を確保できるか」です。ここで確保が困難であれば、区分ロでの届出が現実的な選択肢となります。確保が可能であれば、第2の問いに進みます。
第2の問いは、「その医師により、月4回以上の連続24時間往診体制を組めるか」です。ここで組めるのであれば、区分イの取得を目指すことになります。組めないのであれば、区分ロでの届出を準備します。
なお、外部の医師を「自院の医師」として扱う場合は、診療録の事前閲覧体制や訪問診療医との情報共有体制の整備が必須となります。電子カルテの共有環境などのIT整備にも一定の準備期間が必要となるため、早めの判断が重要です。
現場でよくある3つの疑問
Q1. 「連続する24時間」とは具体的にどのような体制ですか?
連続する24時間とは、ある時点から24時間途切れることなく、自院医師による往診が可能な体制を指します。この体制を月に4回以上組むことが、区分イの新要件です。月のうち4日以上、自院医師が連続24時間体制を担当する日を確保するイメージで運用することになります。
Q2. 「往診経験10回以上の医師」を含めれば、自院常勤医師でなくても要件を満たせますか?
含めることは可能ですが、3つの条件すべてを満たす必要があります。3条件は、(1)当該保険医療機関からの往診経験を10回以上有する、(2)往診担当日の前日またはそれ以前に診療録を閲覧できる、(3)必要に応じて診療方針を訪問診療医と共有できる、です。単に経験回数だけでは要件を満たさず、情報共有体制の整備が前提となります。
Q3. 医療資源の少ない地域ではICTでの代替が可能とのことですが、どの区分でも適用されますか?
区分イ・区分ロの両方に適用されます。対象は別表第6の2に掲げる地域の診療所で、患者のそばにいる看護師等と情報通信機器を用いた24時間診療体制を確保している場合に、医師の直接往診の代替が認められます。
届出準備に向けた3つのアクション
ここまでの内容を踏まえ、届出準備として取り組むべきアクションを3つに整理します。
第1のアクションは、自院医師のシフト点検です。月4回の連続24時間体制が現実的にクリア可能か、直近の勤務実績からシミュレーションを行います。
第2のアクションは、外部医師の活用を検討する場合の情報共有システム整備です。電子カルテの事前閲覧環境や、訪問診療医との診療方針共有の仕組みを構築します。
第3のアクションは、シミュレーション結果に基づく区分の経営決定と、管轄厚生局への届出書類の準備です。
まとめ
令和8年度改定における連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する制度設計です。新設の区分イは「自院医師による月4回以上の連続24時間往診体制」を要件とし、区分ロは従来の連携体制ベースでの運用を継続する施設向けの区分となります。
各医療機関では、自院の体制実態を点検し、どちらの区分で届出を行うかの判断を進めることが求められます。比較表とQ&Aを参考に、早めの届出準備を進めていただければと思います。
音声での解説をご希望の方は、LISTENのポッドキャストエピソードもあわせてご視聴ください。